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【報告】講演会「高齢化社会のまちづくり」

 2011年6月21日(火)、札幌すみれホテル 3F「ヴィオレ」において、北海道ジェロントロジー推進協会の定期講演会「高齢化社会のまちづくり」を開催いたしました。

 当初は定時総会の同時開催として企画を進めておりましたが、このたびの震災の影響により、講演会の開催を6月に延期させていただきました。

 

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 今回は講師の先生のご希望により、参加者と意見交換ができる範囲で聴講者を募集しましたが、平日開催にも関わらず定員を超える申込みをいただいたことから、急遽、会場の限界まで席を増やして対応いたしました。
 この日の札幌は、急に真夏が到来したかのような汗ばむほどの陽気で、蒸し暑い東京からお越しいただいた先生には少し恐縮ではありましたが、会場でも歓迎の熱意をもって迎えられました。
 
 最初に、当協会の朝倉理事長より、「ジェロントロジーとは ―高齢化社会―」と題して、人口構造の推移と社会・経済・生活構造の変化がもたらした高齢化社会の課題、そして今後日本が向かうべき未来の姿とジェロントロジー(老年学)が果たす役割についてご講演いただきました。

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 現在、高齢者の80%は健康で、今後さらに高い健康度を維持しつつ長寿を迎えるライフモデルの実現が期待される。このとき高齢者が望む生き方は、高い生活の質と生きがい(社会貢献)である。豊かで幸せな高齢者の成熟社会、すなわち健康で安心して暮らし、社会貢献(日本においては仕事や社会参加)での充実感を感じつつ、豊かさや幸福感を感じられる社会の実現こそが、若年層も夢を抱くことができ、子ども達もすこやかに育つ、これからの日本に必要とされる成熟社会の姿である。そのような将来に向けて、ジェロントロジー(老年学)が果たす役割は重要であり、ここ北海道においてもジェロントロジーの視点をもって高齢化の課題に対峙する必要があろうと述べられました。

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 次に、東京大学高齢社会総合研究機構 辻哲夫教授より、「超高齢社会のまちづくり ―Aging in Place」と題して、高齢者介護施策の現状と課題、さらにその解決に向けた東京大学のモデルプロジェクト、千葉県柏市豊四季台地区における社会実験の取り組みとその狙いや成果についてご講演をいただきました。


 高齢者人口は、今後20年間、首都圏をはじめとする都市部を中心に増加し、介護サービス量の増加と高齢者の住まいの問題等の対応が不可欠になる、ということで、ここ北海道も高齢者人口が全国平均を大きく上回っており(現在全国トップ4)、これらの対策が急務であることが示されました。
 現在、介護保険制度においては、老人医療費の課題に対し発症・重症化の予防重視型モデルへの転換を進めているが、さらに寝たきりにさせないためには、在宅で普通に生活しながら医療や介護が受けられる地域ケア体制の整備が必須であり、そのための新しい住宅政策や地域づくり等、社会システム全体を再構築する思想と各分野の連携を伴った方策が必要とされている、として次に着手すべき施策について説明くださいました。

 「Aging in Place」というのは「住み慣れたところで安心して自分らしく生きるのが幸せである」というジェロントロジーの概念で、このとき地域に必要とされるシステムが"介護予防"と"就労の場"である。日本人は働くことが生きがいで、超高齢社会ではそのようなアクティビティを取り込んだまちづくりが必要とされており、東大-柏プロジェクトでは、住宅のバリアフリー化とともに、在宅医療福祉システムとして情報通信システムの導入整備を進め、生きがい就労として高齢者が地域貢献できるコミュニティ形成に取り組んでいる、とその具体例と成果について紹介いただきました。

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 今、日本経済発展の最後の仕上げ時期として、成熟社会の実現、すなわち高齢者に優しい社会が作れるかがどうかが問われている。先に高齢化が進んだ諸外国の例を見ても、経済発展とともに子育てと介護のシステム整備は必要であり、経済発展が進めば国民負担率をあげ、そのシステムを背景に国際競争力を保ちながら内需を大きくしていく、という循環による成長が可能であることを示している。日本が高齢化をポジティブに受け止め、安心できる国をつくるという価値観の転換をはかり、高齢者、特に団塊の世代には生きがいとしての就労をしていただき、介護を支える社会システムに財源を投入して、新しい日本型成長モデルを示すことができれば、来たるべき超高齢社会も明るいものになる、と我が国の将来ビジョンにも話が及びました。

 最後に、北海道はまさしく新天地であり、新しいまちづくり、新しいライフスタイル、新しい価値観、新しいシステム、といったものを受け入れる素地がある地域と期待しており、このような議論が北海道全体に及んでいくことを祈っている、とエールがおくられ、会場からは喝采の拍手をもって盛況のうちに終了いたしました。

 

 茶話会では、東京大学 先端科学研究センター 伊福部教授の司会により、なごやかな雰囲気のなか辻先生に多数の質問が寄せられ、活発な意見が交わされました。 

【会員限定】

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イベント   2011/07/07   admin